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最高裁判所第一小法廷 昭和49年(オ)630号 判決

主文

理由

上告代理人中村源造の上告理由について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができる。そして、家屋又は土地等の賃貸借契約において、賃料の遅滞を理由に催告なしで契約を解除することができる旨を定めた特約条項は、賃料の遅滞を理由に当該契約を解除するにあたり、催告をしなくても不合理とは認められない事情が存する場合には、催告なしで解除権を行使することが許される旨を定めた約定として有効と解すべきところ(最高裁昭和四二年(オ)第一一〇号同四三年一一月二一日第一小法廷判決・民集二二巻一二号二七四一頁参照)、原審の確定した事実関係のもとにおいては、被上告人らが、上告人東港商工株式会社に対し、催告をすることなく賃料の遅滞を理由としてした本件土地の賃貸借契約解除を有効とした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 団藤重光 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

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